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研究ノート⑤序論(しっぽ) 

ぐちゃぐちゃに載せてすみません…もう一度。

   
                           序論

 ハリウッド映画には、アメリカン・ドリームをテーマとしたサクセス・ストーリーが多く存在する。アメリカン・ドリームの起源は18世紀末頃にまで遡る。
 当時のアメリカはその広大な大地がどこまで続いているのか、その先にどんな風景が広がっているのかは、まだよく分かっていなかった。そしてそれが移民たちの夢を掻き立てた。ヨーロッパのように固定した身分制度や伝統による束縛は皆無で、際限なく広がっている広大な処女地には、豊かな天然資源が無尽蔵にあると考えられていた。アメリカに行けば誰でも成功のチャンスがあるという成功神話が、アメリカン・ドリームとして根付いた。
 当時、多くの人々にとって成功の夢とは、生まれ育った環境や身分に関わらず、未知な世界で一旗上げて、豊かに暮らすことであった。しかし今日では物質的・経済的な豊かさそのものだけではなく、成功が当の本人にとって有する意味や価値を重視するといった方向へ変わりつつある。
 本論では、女性のサクセス・ストーリーを描いた作品『ハッピーフライト』(View from the Top,2003)と『赤ちゃんはトップレディがお好き』(Baby Boom,1987)について論じる。これらの作品の主人公は、一度は地位や名声を手に入れるが、最後にはそれ以上に大切なことを見つける。 
 第一章では、『ハッピーフライト』を題材とし、主人公のドナが、ずっと夢見ていた国際線勤務になれたが、やはり恋人のいる町で暮らしたいと思うようになった心境の変化を考察する。
 第二章では、『赤ちゃんはトップレディがお好き』を題材とし、ニューヨークにいた頃の主人公J.C.が、預かることになった赤ちゃん、エリザベスを世話するようになってから次第に情が移っていく様子、またキャリア・ウーマンで仕事第一であったJ.C.が、それ以上に大切なものを見つけたことに注目する。そして赤ん坊エリザベスや、獣医師のクーパーに出会い、自分らしい生き方を見つけたことを理由として結論付ける。
 これら二つの作品に登場する二人の女性は、恋愛と仕事もしくは地位との選択を迫られる。女性の社会進出が盛んな現代においては、恋愛も仕事も手に入れるというサクセス・ストーリーも多いが、どちらかを捨て自分らしい生き方を選択したこの二作品もサクセス・ストーリーなのである。
by mewspap | 2008-12-01 19:38


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