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2009年のピンホール

先般、村上春樹が多用する不可思議な比喩表現について『1Q84』から一例を引きました。

一見したところどっか余所の世界から持ってきて取って付けたようなもので、それは対象を「喩えて分かりやすくする」というより、対象の「リアリティをズラす」効果があるのではないか。

そこで引いたのは以下のような比喩です。
中年の運転手は、まるで舳先にたって不吉な潮目を読む老練な漁師のように、前方に途切れなく並んだ車の列を、ただ口を閉ざして見つめていた。
タクシーが高速道路の渋滞に巻き込まれてスタックしている状況で、客席にいる主人公の視点に立って、語り手が運転手を上のように描写するわけです。

学生のレポートなら当然ペケでしょうね。

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by mewspap | 2009-07-31 16:55 | つれづれレヴュー

個研新規映像資料(Mew's Pap)

個研に以下の新規映像資料を配架しました。

愛のそよ風
いつか眠りにつく前に
グリニッチ・ビレッジの青春
結婚しない女
ゴースト・オブ・ミシシッピー[VHS]
再会の時
さよなら。いつかわかること
ジョンとメリー
ソウル:フード
テンダー・マーシー
ナイト・イン・アメリカ
バグダッド・カフェ
ハリーとトント
ボーイズ・オン・ザ・サイド
ロンリー・ハート
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by mewspap | 2009-07-28 11:50 | 2009年度ゼミ

西川美和監督の『ディア・ドクター』

すばらしいです。
物語映画として実によくできています。

物語の構想がよく、脚本がよく、台詞がよく、美しい風景とショットの構成とカメラワークがよく、役者の演技と台詞回しと沈黙(「間」)がよい。
「ついでに」言えば、無医村を初めとする医療問題という今日性のある主題への視線がよい。

笑福亭鶴瓶演じる主役の伊野の表象は、言うまでもなくまず白衣ですね。
それから注目すべきはペンライト、かなぶん、そして背中。

鶴瓶の背中はまるまっこい(「まるまっちい」と言うよりこっちの方が合ってる気がする)。
彼は全部がまるまっこい印象がありますね。頭も身体も目も眼鏡も。

その「まるまっこい背中」が屈託を抱え込んでいる。

抽象的な表現を与えるならば、伊野とはまず何よりも「屈託」であろう。

村の中心と物語の中心である伊野は最初から空虚です。
したがってこの物語は一言にして「中心の空虚の屈託」となる。

伊野だけでなく、他の人物も背中の演技がよいです。

これから見る機会がある人、こういったところが注目です(ばしばし予断を与えてしまうのである)。
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by mewspap | 2009-07-26 14:09 | つれづれレヴュー

DVDと「学期初め=学期末」/「顔合わせ=打ち上げ」の日(Mew's Pap)

d0016644_9312564.jpgすっかり忘れていたが(いつものことだが)、14日に何人か手を借りて学部特別予算で(昨年に)入手した新規DVDをようやく(今さら)配架しました。

合研の映像資料コレクションに一覧リストがあるので、教育・研究用に利していただきたい。

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by mewspap | 2009-07-26 09:31 | 2009年度ゼミ

月がふたつある世界を生み出す比喩

d0016644_2355515.jpg私も多くの読書人と同じく村上春樹の小説は読んできたが、村上春樹について書かれた文章はほとんど知らない。
今さらながらに私が村上春樹について云々してもたぶん屋上屋を架すだけだろうし、その文体の固有性をあれこれ言っても熱烈なファンは鼻で笑うだけだろう。でも長年あの独特で蠱惑的な比喩表現が不思議でならなかった。

文章を書くときには取って付けたような比喩はNGであるを学生時代に教わった。

学部も卒業年次の終わりのころ、友人が彼のゼミの女子学生の卒論原稿に触れて、その「自分勝手で読み手に共有されない比喩」の多用について苦笑していた。どんな比喩を使うんだいと尋ねると、一瞬の間をおいてから、「まるでゴミ箱に打ち捨てられた一輪の薔薇のように」みたいなのを脈絡なく書き付けるんだと言っていた。

今思うと、その女子学生は初期からの村上春樹ファンだったのかもしれない。
彼女の比喩を評した友人はGeorge Orwellの1984について卒論を書いていた。遠い昔、1984年のことである。

村上春樹の比喩表現は、絶対にレイモンド・チャンドラーの影響だと私は思っていたので(誰もそのことに触れないのか、当たり前の前提になっているのか知らないが)、彼が『ロング・グッドバイ』と『さよなら、愛しい人』を新たに翻訳すると知ったときにはやっぱりそうだよなと思った。

『1Q84』も村上節の比喩が満載でとても愉しい。

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by mewspap | 2009-07-22 18:33 | つれづれレヴュー

今が通りすぎていった後に

d0016644_9385796.jpg一仕事終わったし久しぶりに映画見よっとお出かけし、車内で一昨日の朝日新聞を拡げたら、土曜おまけの『be on Saturday』がはさまっていた。

連載の特集記事「うたの旅人」は、今回、往年のスカイラインCMソング「ケンとメリー~愛と風のように~」を取り上げている。

うむ。懐かしいですね。
日産スカイラインは、1970年代初めにこの「ケンメリ」のCMで大ブレークしたのである。途切れそうでいて伸びのある高音で歌う謎めいたデュオBUZZ(当時フォークシンガーとかロックバンドってテレビに出なかったんです)の曲も一世を風靡した。

わんぱく小僧であった猫元少年も、「スカイライン的なるもの」への憧憬を抱いたものである(ミニカーも買った)。丸形のテールランプは独特で、ほとんどジープのヘッドライトみたいだった(かっくいい)。

その後、ときおり街中でスカイラインを見かけたが、ドライバーズ・シートの年長のにーちゃんたちはケンとはほど遠く、助手席のねーちゃんたちもメリーとは似ても似つかぬおかめ面・・・いや、もとい、CMで生成された幻想を叩き壊すのに十分であった。

そりゃそうだわな。ケンメリと比べてはかわいそうである。

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by mewspap | 2009-07-21 09:51 | つれづれレヴュー

ゼミ飲み会お疲れ様でした!(あー)

たくさん飲んでしゃべって、楽しい時間でした。先生ごちそう様でした。
仲良く、頑張っていきましょー♪

映画研究の進行状況としては、エミリーローズを見ました。怖くて直視できない部分もあったので、
何度も繰り返し見る必要がありそうです。
ヘルハウス、オーメン、エクソシストも見るつもりです。
夏休み中に、映画をたくさん見て、関連する書物をたくさん読もうと思います。
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by mewspap | 2009-07-19 22:52

就職活動も落ち着いたので (やす)

初めての投稿となります。ずっと投稿、出席できず本当に申し訳ありませんでした。警察試験も無事終わり、就職活動も落ち着いてきたので遅いとは思いますが、卒論の準備をしていきます。まだ、全く進んでいないので今回は自分なりのこれからの卒論の進め方を投稿したいと思います。
 初めに、卒論文献をもう一度読み直して、映画も一度見てから、自分が疑問に思ったことやよく分からないところを取り上げていこうと思っています。それにあわせて、先輩の卒業論文を見たり、先生から取り上げていただいた参考文献にも目を通していきたいと思っています。
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by mewspap | 2009-07-05 20:10 | 2009年度ゼミ

進行状況&レビュー(あい)

全く投稿期日を守れていません。が、卒論についてはいろいろと模索していました。

当初は、アメリカ映画における黒人女性の描かれ方に興味を持っていて、ブラックムービーを取り上げる予定でしたが、少し変更しようと思います。

ブラックムービーを取り上げるには、先生の言うとおり人種差別の歴史を知るべきであると考え、いくつかの映画を観ました。しかし、どれを観ても非差別主義の私にはあまりにも酷であり、テーマとして取り上げるものではないと(私は)感じました。私には難しすぎるテーマであるとも感じ、あえて取り上げたくないとも思いました。

先生に勧められた「アラバマ物語」を観ました。黒人差別の要素を少し含まれていますが、私はこの映画の一つのテーマである「正義」について考えてみようと思います。
「正義」の定義は個人によって異なり、私自身ある程度固まった正義の観念を持っていますが、この映画では「子供の正義と大人の正義」がうまく描かれているように思いました。

来週のゼミで、先生と相談したいと思います。
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by mewspap | 2009-07-01 22:13