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『オズの魔法使』――ドロシー、かかし、ブリキ男、ライオンにおける願望――

目次
序論
第一章 ドロシー
 第一節 願望
 第二節 強くなっていく願望
 第三節 気付き、成長
第二章 内にあるもの
 第一節 登場
 第二節 行動、言動
 第三節 証明
結論

参考文献

序論
 映画『オズの魔法使』 (The Wizard of Oz, 1939) は、主人公ドロシー (Dorothy) が竜巻によって美しいオズの国に飛ばされ、故郷であるカンザスに帰るという冒険物語である。
 彼女はオズの国で、自分と同じように自分に足りないものを求めているかかし (Scarecrow) 、ブリキ男 (Tin Man) 、ライオン (Lion) と仲間になり、一緒にオズ大魔王 (The Wizard of Oz) のもとを目指す。ドロシーは物語の始まりから終始一貫して家に帰りたいという願望を抱いており、また、彼女の仲間たちも自分に足りないものが欲しい願望を常に持って旅をしている。本論では彼女たちがそれぞれ抱いている願望について考察する。
 ドロシーはオズの国に飛ばされる以前から、家に帰りたいという願望を抱いており、彼女の願望はオズの国に飛ばされてから次第に強くなっていく。最終的に彼女の願望はひとつの気付きを彼女にもたらす。第一章ではドロシーに注目し、家に帰りたいという彼女の願望がどこで生まれ、強くなったのか。そして、最終的に心から求めるものを求めるなら思うだけではいけないということに気付き、成長したことについて論証する。
 かかしたちはそれぞれ自分に足りないものが欲しいという願望を抱いているのだが、その願望はドロシーとは違い、初めから内に秘めているものである。彼らはそのことに気付いていないだけである。第二章では、かかしたちの言動に注目し、彼らの願望は、実は、初めから内にあるものであり、彼らは自分が求めるものを本当に持っているということを証明する物を貰うことによって、そのことに気付くということについて論証する。

結論
 本論文では、映画『オズの魔法使い』の中の願望に注目し、ドロシー、かかし、ブリキ男、ライオンの願望を見てきた。ドロシーにおける願望は家に帰りたいというものであり、その気持ちはエムおばさんに会いたいと願うところから来ている。彼女の願望はオズの国での旅を通して、次第に強くなっていき、彼女は家に帰りたいと思うだけではいけないということに気付く。ドロシーがオズの国で終始一貫して家に帰りたいと願っているからこそ、心から求めるものを探すなら、それは家に近くにあり、家が一番大事であるという考えにたどり着くと考えられる。
 かかしたちはそれぞれ、脳みそ、心、勇気を求めてドロシーと一緒に旅をしてきたが、彼らは初めから自分に足りないものを持っていた。彼らは自分に足りないと思っている物が自分を旅の中で最も特徴付けていることに気付いていないだけである。自分が足りないと思っている物は初めから内に秘めており、自分が求めるものを本当に持っているということを証明する物を貰うことよって彼らは満足する。この映画は心から求めている物は身近にあり、立ち止まって自分を見つめることによって見つかるというボームの哲学が見受けられる作品となっているのではないかと考えられる。


(1) The Wizard of Oz (1939,Warner Bros) DVD: Warner Home Video, 2005, chapter 3. 以下、本作品からの引用はこの版からとし、本文中にチャプター番号を( )で表記する。
(2) 曽根田憲三『アメリカ文学と映画-原作から映像へ-』(開文社, 1999), pp. 39-78. を参照。
(3) 同上, p. 53.
(4) 「フォトプレイ・スタディーズ-映画鑑賞についての雑誌-」(DVD特典付録), p. 3.を参照。
(5) 桂宥子、高田憲一、成瀬俊一編『英米児童文学の黄金世代』(ミネルヴァ書房, 2005), p.175.
(6) 「フォトプレイ・スタディーズ」, p. 3.
(7) 同上, p. 5.
(8) 同上, p. 5.

参考文献
曽根田憲三『アメリカ文学と映画-原作から映像へ-』(開文社, 1999), pp. 39-78.
桂宥子、高田憲一、成瀬俊一編『英米児童文学の黄金世代』(ミネルヴァ書房, 2005), pp. 164-174.
成瀬俊一『英米児童文学のベストセラー40-心に残る名作-』(ミネルヴァ書房, 2009), pp. 26-29
高橋さやか『子どもの世界・物語の世界』(新読書社, 1987), pp. 161-191
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by mewspap | 2010-03-27 15:32 | 2009年度卒論


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